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「あれ……?」
思わず間抜けな声を上げた。
それを聞いた女の子はクスッと楽しそうに笑った。
「迷惑を掛けてしまったみたいね。ごめんなさい。でももう大丈夫よ。」
「大丈夫って、さっきまであんなに────」
高熱を出していたのに、今ではその名残すらない。
全くわけがわからないが、現実そうなのだからこれ以上突っかかっても仕方がないかもしれない。
強がっているようにも見えないし。
「迷惑を掛けてしまって、更に看病までしてもらったんだもの、お詫び……というよりお礼をしなくちゃ。」
女の子はそう言うと俺の腕をぐいと引いた。
突然のことに反応できなかった俺はそのまま前に倒れこんで────
見事に顔面を女の子の胸に埋もれさせた。
さっきまではわざと見ないようにしていたから気付かなかったが、実際こう埋もれてみるとなかなかボリューミーだった。
それはもう男としてとても心地の良い状況だったのだが、俺の理性は本能を打倒できるらしく、俺は慌てて跳び退こうとした。
しかしそれは俺の身体に腕を回す彼女に阻止された。
「お礼がしたいの。いいでしょ?」
「え……あ……」
何が何だかわからずに思考がついていかない。
この子は一体何を言っているんだ。
女の子はニッコリと笑うと俺が反応する隙を与えずに俺を押し倒して覆いかぶさってきた。
「──────!?!?」
「あなたの好きにしていいわ。
けど、最初は私からさせて? そうしないとお礼にならないから。」
「あ……いや……ちょ、ちょっと待て!」
俺は慌てて女の子を押して上から退かせる。
この子は一体全体何を考えているんだ!
「や、やめてくれ、そういいのは! 困る!」
「? 男性というものは女が股を開けば喜々として突っ込むものではないの?」
心から不思議そうにとんでもない発言をかましてくる。
激しく誤解というか、偏見というか、まぁそういう人種もいるだろうが俺はそこまで飢えちゃいない。
「あ、もしかして好きな子がいるのね。それは悪いことをしたわ。想い人以外と枕を交わすのは嫌なのね。」
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