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神宮 透子のそのぷるんとした唇が俺の口を塞いだ。
俺に反応する隙なんてなかったしそんな余裕は持ち合わせていなかった。
神宮 透子の唇は柔らかかった。
そのみずみずしい唇が俺を潤す。
先程身体に触れた時の冷たさはそこにはなく、とても心地の良い温かさがあった。
ただ唇を重ねているだけで快感を覚えるような錯覚。
いつまでもこうしていたいと思ってしまう。
けれどそういうわけにもいかないと彼女を引き離そうとしたが、神宮 透子は俺の背中を手を回してそれを拒んだ。
彼女の舌が俺の歯を割って口内に侵入してきた。
その舌はまるで別の生き物かのように器用に動き、トロリと俺の舌に絡みついた。
全身が溶けてしまうような感覚。
彼女の舌が俺の舌を踊らせるたび、俺は内側から溶けてしまうそうな感覚に襲われる。
時に激しく、時に優しく。
神宮 透子の絶妙な舌遣いは俺を快楽に溺れさせた。
舌に全ての感覚を奪われ、意識が一点に集まる。
今俺の全ては舌にだけあるような、そしてその舌を神宮 透子がトロける快感で蹂躙していく。
長いようで短い時間。短いようで長い時間。
ようやく神宮透子は唇を離した。
そこにはどちらのともわからない唾液が糸を引き、艶かしい彼女が余計に性的に見えた。
俺は息を荒らげて神宮 透子を見つめることしかできなかった。
神宮 透子は穏やかな笑みを浮かべて見つめ返してくる。
「神宮……君は────」
「透子。」
俺の言葉を遮って彼女は言った。
「透子って、呼んで。歩くん。」
「あ、ああ……」
拒む理由もなかったから大人しく頷く。
「歩くん。私はあなたに感謝している。
あなたは私の命を救ってくれた。この命を救ってくれた恩は、この命をもって返したい。
だから────」
透子の瞳には強い意志と決意が込められていた。
しかし、それはどこか狂信的な気がした。
「私はこの身をあなたに捧げる。
私をあなたの好きにして、歩くん。」
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