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「誰?僕を迎えに来てくれたの?」
なるべく優しい声で話しかけるが
返事はない。
だが、
気付かれたと悟って隠れるのはやめたらしく
無言で近づいてくる。
特徴がある足音だったり
親しい人間のものならわかるが
村人全員の足音は聞きわけられない。
祝い酒を飲んだのか
酒の匂いが邪魔をして
いつもなら何となくわかる気配も
感じとれない。
相手が自分のことを見ているのに
自分は相手が誰だかもわからない恐怖に
思わず声をあげそうになったけれど
ひるんじゃ駄目だ、
と音のする方向に体を向けて待った。
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