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ナミが生まれたのは
海の近くの村だった。
女の子の様にふっくらとした頬に
小さな赤い口元。
その可愛らしい顔の中でも
ひときわ目をひく
ぱっちりとした瞳が
何も見えていないことに最初に気付いたのは
父だった。
音や空気の流れに敏く
父や母が来れば笑い、
話しかけられると
そちらに目を向ける息子が
昼間だけではなく、
夜の暗闇の中でも
同じ反応をして
少しも怖がらないで笑っているのを
不思議に思い、
わかったのだ。
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