旅立ち

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村に来た母は 村長の弟と結婚して ナミと三人で暮らした。 村長には タカとその二歳年下で ナミと同い年のサギの二人の息子がいた。 タカは 明るくほがらかな口調で あれこれ話しかけてくれる。 サギは 口よりも体を動かす方が早いと思っている風で ナミのすることを口出しせずに見守っていて 何かあると手を貸してくれる。 いくらナミが聡く 身の回りのことは一人でできても、 他の男の子の様に 野山を駆け、 狩りの手伝いをすることは難しい。 長ずるにつれて 父よりは母の仕事を真似るようになり、 中でも 生来の器用さと細かい性格があったらしく 土器作りではたちまち母の腕をぬいた。 土の配合、 土肌の厚みも工夫して 使い勝手がよく、 また母や女たちの意見も聞きながら 模様にも凝る 土器が作れるようになった。 美しい土器は 物々交換の道具にもなる。 狩りのできないナミは 女に混じり土器を焼き、 布を織った。
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