旅立ち

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そして三年前、 父と母が相次いで亡くなった時、 途方にくれたナミをなぐさめてくれたのが タカだった。 ずっとタカを兄のように慕っていたナミの中に、 頼り甘えたい気持ちとは別に 愛しい思いがわきあがっていた。 それはタカも同じだったらしく ある日頬をなでられたかと思うと そのまま口づけられた。 とまどいながらも ナミもそれに応えて 何日か後には裸で抱き合った。 背が高く、 引き締まった筋肉をしているタカの顔を触らせてもらうと 鼻も目のくぼみもはっきりとしていて 精かんで男らしい。 女性にもてるのに ナミと気持ちを通わせてからは 祭りでもナミの隣から離れず 誘いも断っていた。 当然村長も村人も ナミとのことを気付いていたが タカが守っていてくれたのか 二人はひき離されることもなく ナミにとって幸せな日々が続いた。
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