第6章 薫の選択

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 これで、バッチリ。  あたしの素敵な毎日はまたこうやって進んでいく。  今度は正体を隠さないでいい男まで参加することになった。しかも、彼はあたしを天国に連れて行ってくれる。  うふふふ~と笑っていたら、あたしの額におでこをこすりつけた男が、また長いため息をついた。  車で最寄の駅まで送ってもらう。  明日の朝、あたしはまた岡崎さんのカフェに向かう。  そしていつものようにあの美味しいモーニングを食べて、素晴らしいコーヒーを飲む。  守君やラプンツェル姫や由美ちゃんと笑いながらおしゃべりをする。  そして岡崎さんに報告しようっと。  あたしは、ちゃんと復活しましたよって。  岡崎さんはきっと眩しい笑顔で頷いてくれるだろう。  今までの人生は素敵だった。だけど―――――――  これからの人生も、そう悪くないかもね。  あたしは車の滝本に手を振って、真夏の昼間、歩き出した。 「振り返ったら、君が。~すり鉢姫・薫~」完
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