俺と君

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「ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」 そう言って俺、由杉大輝は頭を勢い良く下げた。 「君はここに結婚を申し込みにでも来たのかね」 俺の死角で声が聞こえ、途端に職員室中で笑いが沸き起こる。 俺は顔を上げて、声の主、生活指導担当の井上先生に恥ずかしくてか細く笑った。 井上先生は俺に苦笑しながらも、暖かい目を向けていた。 「じゃあ、由杉先生は斎藤先生の横の席を使って構わないから。斎藤先生に面倒見てもらうんだよ?」 「はい! ありがとうございます」 笑顔で言うと、井上先生も笑顔で返してくれた。その後、俺は教えてもらった通り自分の席へ向かう。 今日から、俺は教師になる。夢にまで見た教師に。それもこれも、全部『彼』のおかげ。 「緊張してたな、お疲れ様。それで? お前は一体誰に結婚を申し込んでたんだ?」 席に座ると、横にいる斎藤先生が俺に頭を撫でてくれる。だけど、揶揄って俺に深みのある口角を上げる。 「違うよ! タケちゃんまで酷い!」 「はは。悪いな。つい」 「ついじゃなーいっ」 俺の教育係であり、俺の幼馴染みの『彼』、斎藤猛が笑う。 そして、俺は斎藤猛、基、タケちゃんに恋をしている。
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