ボーイの呟き 2015

15/52
前へ
/167ページ
次へ
○月○日 「わん!わん!」 田吾作朗と散歩中、田吾作朗が急に空き地へと走り出した。 そして、その真ん中でとまったかと思うと、急に吠え出して鼻を地面に押し当て始めていた。 「おい、一体どうしたんだよ」 俺は田吾作朗の元にかけつける。 「わん!わん!」 しかし、しきりに地面に鼻を当てる田吾作朗。 人間より嗅覚のいい犬が鼻を当てている。 それってもしかして…… 「田吾作、ここを掘れって言ってるのか?」 「わんわん!」 ほえながら、田吾作朗は首を縦に振っているように見えた。 「そうか。もしかしたら何か埋まってるのかな?」 俺は花咲か爺さん気分で地面を掘った。 するとすぐに白い何かが顔を出す。 「あれ?これって……」 もしかして、金銀財宝が? と思ったけれど、この白い物体は…… 「キノコ?」 白い物体が出てくるまできちんと掘ったら、こぶし大程度のキノコのようなものがでてきた。 「田吾作朗--犬がキノコ? これってもしかして、トリュフなんじゃ?」 ヨーロッパでは犬の嗅覚を使ってトリュフを採ると聞いたことがある。 田吾作朗も犬なんだし、このトリュフの匂いをかぎつけて俺に教えてくれたのか? 初めて見るトリュフは輝いて見えた。 「でかしたじゃないか、田吾作朗! こんな高級食材を……! よし、今日は帰ったらトリュフをふんだんに使った、豪勢な食事にしよう!」 「わんっ!わんっ!」 田吾作朗は嬉しそうに吠えていた。 数時間後の夜。現在―― 「うぉぉぉぉぉ」 俺はトイレに篭城なう。 ……どうやら、キノコはキノコでも、トリュフではなかったらしい。 皆様も、見知らぬキノコには気をつけて☆
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

142人が本棚に入れています
本棚に追加