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○月○日
「わん!わん!」
田吾作朗と散歩中、田吾作朗が急に空き地へと走り出した。
そして、その真ん中でとまったかと思うと、急に吠え出して鼻を地面に押し当て始めていた。
「おい、一体どうしたんだよ」
俺は田吾作朗の元にかけつける。
「わん!わん!」
しかし、しきりに地面に鼻を当てる田吾作朗。
人間より嗅覚のいい犬が鼻を当てている。
それってもしかして……
「田吾作、ここを掘れって言ってるのか?」
「わんわん!」
ほえながら、田吾作朗は首を縦に振っているように見えた。
「そうか。もしかしたら何か埋まってるのかな?」
俺は花咲か爺さん気分で地面を掘った。
するとすぐに白い何かが顔を出す。
「あれ?これって……」
もしかして、金銀財宝が?
と思ったけれど、この白い物体は……
「キノコ?」
白い物体が出てくるまできちんと掘ったら、こぶし大程度のキノコのようなものがでてきた。
「田吾作朗--犬がキノコ?
これってもしかして、トリュフなんじゃ?」
ヨーロッパでは犬の嗅覚を使ってトリュフを採ると聞いたことがある。
田吾作朗も犬なんだし、このトリュフの匂いをかぎつけて俺に教えてくれたのか?
初めて見るトリュフは輝いて見えた。
「でかしたじゃないか、田吾作朗!
こんな高級食材を……!
よし、今日は帰ったらトリュフをふんだんに使った、豪勢な食事にしよう!」
「わんっ!わんっ!」
田吾作朗は嬉しそうに吠えていた。
数時間後の夜。現在――
「うぉぉぉぉぉ」
俺はトイレに篭城なう。
……どうやら、キノコはキノコでも、トリュフではなかったらしい。
皆様も、見知らぬキノコには気をつけて☆
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