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○月○日
仕事終わり。
私服へと着替えを済ませたフジコちゃんがフロアで自分のカバンのに手を突っ込み、何かを探しているようだった。
目的の物が見つからないせいか、ものすごく不機嫌そうな顔をしている。
触らぬ神にたたりなし。
俺は回れ右をしてその場を離れようとする。
「あ、田吾作。ちょっと来て」
逃げ切れませんでした。
「どうしたの?」
「タバコ切れちゃったみたいで。1本ちょうだい」
ちなみに店でもタバコを取り扱っていて定価で販売している。
「切れたなら買えばいいじゃん。持ってくるし」
「ん。じゃあピースお願い。それ田吾作が持ってて」
フジコちゃんはそう言って俺にタバコ1箱分のお金を渡した。
「は?俺が持っとく?どういう……」
「今みたいにタバコ吸いたくてもない時、田吾作がすぐに1本持ってきてくれれば問題ないでしょ。だから1箱持ってて」
いや、俺が問題ありますけど。
なぜフジコちゃん用のタバコを俺が常に携帯していなきゃいけないのだ。
「ふざけんな、俺はタバコ係じゃねぇよ!」
そう言いながらも素直にタバコをバックヤードまで買いにいく俺。ボーイは悲しい。
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