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勘もよかったりするのに、暗号解読はほとんど立花君がしてしまっている。
一本取られた形だ。
「ん? どうしたの蝶野さん」
東宮先輩は団扇を扇ぎながら私にそう言った。
「もしかして、先輩の俺を差し置いてー、とか考えてるのかな?」
うっ、ほら、やっぱり勘は鋭い。
「い、いえ……その」
立花君もクッキーを食べていた口を止めて、東宮先輩を見ている。
「気にしすぎだよ。暗号解きたくても俺だけじゃ無理だったから二人に教えたんだ。協力してくれて嬉しい、って方が大きい。立花だって、超楽しいって言ってただろ? 俺も今、超楽しい! だから、蝶野さんもそんな顏しないでくれるといいんだけど?」
え?
笑っている東宮先輩の髪が団扇でそよいでいて。
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