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「いい加減にしないとあんただけ掃除機の刑よ」
机の上から叫んでやると、
「それだけは勘弁してぇ」
潔く引き出しを開けて、モジモジしながら私の前に現れた、この態度…、妙にいらっと来るけど、普段の私ってこんなのかなぁ。
「おお、恋文が初めて机の外に、流石は晴様、我ら式神の扱いに精通しておられる」
そりゃ。作ったの私だし。掃除機の一言で言う事聞いたのは発見だったな。
「ええっと、晴ちゃん」自分で自分の名前を呼ぶのもむず痒いけど、同じ名前だから仕方ないか。
「なに?」上目遣いで私に訊ね返して来る。
「告白は、私がするから、その代わりあなたに仕事をして貰うわよ」
結局こうなるか…。
「仕事?」晴ちゃん、そんな狼狽えなくて良いから。
「仕事はバイトしてっから間に合ってるよ。てかバイトと学校で疲れて働きたくないんスけど晴ちん」
ギャル風の口調で給料明細の式神が口を挟む。
「クレープはぁ?」「ファンデも」「洋服も」レシート達がはしゃぎ始める。
「つかさぁ、誰のお陰でクレープやら化粧やらが買えたりすんのかタクら判ってんの? しんどいからやめても良いんだけど」
明細のお陰だけど、本当はバイトしてる私のお陰なんだよね。やめるやめないは明細じゃなくて私に権限があるんだけど。
今更ながら気付いたけど、先ずはこの式神達をどうにか丸めこまないと話が反らされてばかりになる。
こいつら一体どうやったら纏まるんだ?
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