第1章

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 本格的に手紙こと安倍晴のスパイ大作戦の計画が練られた。 先ずテストが地図を作成する、道長高校に始まり、十字路の左に商店街、右に私の家に続く住宅街なんだけど若干の距離がある……。 と言うか蚯蚓みたいにグニャグニャにひんまがった線じゃ正確な距離は判らないが、  「はい注目」テストは書き終わるとペンをタクト代わりに地図をペチッと叩いた。  「情報収集は学舎から帰宅する道までの間と定めるものとしますが、その際に幾つか注意点が御座います」  「注意?」手紙は地図を見ながら呟いた。  「晴様には好敵手が御座います」  「式ブーと和んちんだ。バイト一緒なんだよね」  明細が滅茶苦茶失礼な事を言ったけど、式部沙希さんと清少和。 「しきぶさき」と読むから式ブー、「せいしょうなごみ」と読むから和んとクラスの皆から呼ばれているけど、私とは違ってスタイル良いし、美人でお洒落だし男子から人気あるから確かに要注意人物だ。  「その通り、式部様と和様にバレないように注意が必要です」  「ひゃあ、私絶対勝てないよぉ」手紙がいじけ出した。  「シャキッとなさい晴ちゃん」  「でも、この子達じゃ勝ち目が」無いのは私自身よく判ってるけど…。  「そう言う時は♪私の曲で♪元気♪やる気♪勇気だしなよ♪見守りながら♪歌ってあげるよ♪あーい」  CDのレシートが励ました。  「大丈夫だって、私らが商店街に拉致ったげるから心配ないっしょ」  明細。それ実際問題作戦がバレて色々とマジやばいっしょ。  「クレープ集る」  「化粧品集る」  「服集る」  消耗品のレシート達まで手紙の事を心配してくれているのか、それはそれで問題になりそうだけど…。
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