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母親は涙を流しながら、ゆいの話を何度もうなづきながら聞いていた。
「アキさんには、仕事でもプライベートでもお世話になり、感謝しています」
ゆいはこんな話をしながら、桜田の事は言わない方がいいと考え、どう話そうかと頭の中で言葉を整理していた。
「アキさんの仕事ぶりが認められて、ある支店を任され、支店に赴任したのですが、突然会社を辞めてしまって、その後、行方が分からないんです。
もしかしたら、こちらに連絡があったのではないかと思い、お邪魔させて頂きました」
ゆいは、桜田との事を隠すため、優しい嘘をついていた。
母親はゆいの話を聞いて、アキに何か問題があった事を悟ったが、ゆいの気遣いを無駄にしないために、気づかないふりをした。
母親もまた、優しい嘘をついた。
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