第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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その男の馬鹿丁寧な喋り方の裏に見え隠れするのは、威圧感。 男は着ている黒いスーツのジャケットから名刺のようなものを取り出し、おっさんの頭めがけて放り投げた。それがひらひらと地面に落ちる。 「あんたが金を借りてたサラ金業者から、あんたの債権を買いましてね。さしずめ、債権回収代行、とでも言いますか」 おっさん、黒沢さんが名刺を指先で摘み上げる。それには「株式会社 タニザキ」という企業名と、「坪内勝」という名前が記載されていた。 金を借りてた、 債権回収代行、 もしかして、この黒沢っていうおっさんが、先生を借金の連帯保証人にした友達って奴なのだろうか。 もし、本当にそうだとしたら、さっきのこの人の態度も腑に落ちる。 「俺たちも手荒なことはしたくありません。利息含めて一千万、きっちり耳揃えて返してくれりゃあそれで構わないんです」 「いっせ……!」 その金額に驚き、思わず声を上げてしまった俺は、慌てて掌で口元を塞いだ。 それに気づいたガタイのいい男、坪内が俺の目の前にしゃがみ込み、じっと俺を見つめてきた。 心臓のバクバクが、まるで時限爆弾みたいだ。 「黒沢さん、隣の坊ちゃんは、あんたの息子さん?」 「ちっ、ちが……違いま……!」 俺はぶんぶん、と首を振った。こんな危ないことに関わってたまるか。黒沢さんには申し訳ないけど(いや、借金しちゃってるんだから仕方ないよな)、ここは、しっかりこの方々に返済をして貰うしかない。 そうすれば、先生もーーーー 「わ、私は、サラ金業者に説明していた筈だ!借金は全て、連帯保証人の、小鳥遊エイスケが払うと……!」 えええええええええ!?!? このおっさん、今、なんつった!今、とんでもないことを口走りやがったぞ?? 俺は隣で、空いた口が塞がらない。 坪内は、顎をさすりながらぼんやりと何かを見上げている。視線の先には、玄関に貼られている「小鳥遊」の表札。
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