第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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確かにそんな事件で、一時期ニュースが賑わっていた気がする。 それが、谷崎組の起こした事件だとは知らなかったが。 でも、借金で殺されるなんて話聞いたことはない。 まあ、さしずめ、マグロ漁船に乗せられて逃げ場なく働かされるとか、臓器売買だとか、まあ、まあ、そのレベルの…… (それなら死んだ方がマシだろ!) 俺はがっくりと項垂れた。 しかし、俺はいい。 俺は全くの無関係だということを証明すれば、きっと何の被害も被ることはないだろう。 しかし、先生は違う。 例え紙の上の話だとしても、連帯保証人になることを承諾した上で、ハンコを押してしまってるのだから。 借金をした本人と同等に、返済義務があるということだ。 「……もう、完済されているのかと思っていたのに……」 黒沢のおっさんの呟いた言葉に、俺は自分の耳を疑った。 そうだ。 この人はさっき、借金を全て先生に払わせる約束をした、と、信じられないことをあいつらに言っていたじゃないか。 俺は身体を捻り、黒沢のおっさんを睨みつけた。 「オイ、さっきから聞いてりゃ、あんたおかしいんじゃないのか。一千万なんていうデカい借金したの、あんただろ。先生じゃない。なのになんで、先生があんたの借金背負わなきゃならねえんだよ」 「……エイスケなら、一千万なんて……すぐに稼げる」 「はァ!?」 あの先生が、一千万を稼げる、だって? 数々のアルバイトを首になり、へろへろのカーディガンとシャツが一張羅で、冷蔵庫の調味料舐めて暮らしてた先生が、一千万? このおっさんは、先生を誰か違う人間と勘違いしているのではなかろうか。 しかし、今はそこが問題なのではない。
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