第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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「…………ウッ……!ゲッ、ゲホッ……ゲホッ……!!」 「お、おっさん……!」 おっさんは身体を丸め、激しく咳き込んだ。 「今更正義漢気取ってんじゃねぇぞこのカスが!!金返せないなら、最初から借りなきゃ良かったんじゃねぇのか、アァ?違うかァ!!」 「ウッ……ゲホ、ゲホッ……」 「あぁ、近づかねぇよ、てめぇがキッチリ一千万払うんならな。もし払えねえなら、高いトコから飛び降りて貰おうか。あんたにたっぷり保険金つぎ込んでからなァ!!」 坪内の振り上げた拳の甲がおっさんの頬にぶつけられ、骨と骨がぶつかる嫌な音が響いた。 おっさんが倒れると、一緒に腕を繋がれている俺も引っ張られ、二人で床に横転した。 「……お、おっさん、おっさん……!」 俺が声をかけてもおっさんから返事はない。これくらいで死ぬ筈はない。気を失っているだけだろう。 坪内が俺たちを見下ろしている。 怖い。 怖くて怖くてたまらない。 上と下の歯がぶつかり合って、ガタガタ鳴るくらいに俺は震えていた。 なんで、なんでこんなことができるんだ。 「坪内サァン!なぁ、この家、なんか変でぇ」 その時、台所の入口から素っ頓狂な声が聞こえてきた。 呼ばれた坪内と俺がそちらに視線を向けると、そこには三島が立っていた。 着ている派手な柄のシャツに手を突っ込み、ボリボリと腹を掻いている姿がまるで子どもみたいだ。 「……三島、お前何やってんだ……」 「イヤ、何か金目のもんないかぁ思うて家ん中見よったんじゃけど、この家、変なぁの」 三島の声で張り詰めていた糸がぷつり、と切れた。 どうやら俺は暫く息を止めてしまっていたようで、瞬間、夢中で息を吸い込んだ。 「俺たちは遊びに来てんじゃねぇんだぞアホが!!」 坪内に怒鳴られ、三島があさっての方向を向いて舌を出す。 鳩たちの部屋でも見たのか。それとも南京錠で閉じられた黒い箱だらけの部屋を見たのか。 まあどちらにしろ、確かにこの家はおかしい。 「……三島、お前暫くこの二人見張ってろ」 「へぇ?」 「俺は少し出る。すぐ戻ってくるから、もしコイツらがおかしな動きを少しでもしやがったら、ブン殴っとけ」 「はぁ」 「殺すなよ」
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