第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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「まあ、安心しんさい。あんたは関係ないんじゃろ。お口チャックでおとなしゅうしとったらええ」 「……先生に100万は払えない」 「おん?先生て?」 「……小鳥遊エイスケだ」 「ほうか。そらまずいな」 「どうなる?……先生はどうなるんだ?」 俺が身を乗り出すと、三島はニヤリとした。 胸ポケットからぐしゃぐしゃに潰れたタバコの箱を取り出し、残りの一本を口に咥える。 ライターを忘れたのか、一度立ち上がってキッチン台のコンロをひねった。そこで火を拾い、うまそうにタバコの煙を吐き出す。 「さーあ。コトリアソビて、ジジイじゃろ?あんたの後ろでのびとるのもジジイや。ジジイは臓器も金にならんじゃろうからな。まあ、手っ取り早いんは、坪内がゆうてた飛び降りか」 そんな話があってたまるか……! 俺の頭の中に、先生のあのお人好しのとろんとした笑顔が浮かぶ。 散々な人生を過ごした挙句、保険金かけられて飛び降り自殺させられるなんて、 そんな悲劇、今時映画にもなりゃしない。 「……どうにか、これからちゃんと払っていくとか……」 「やから、今日100必要なんやぁて。坪内の機嫌悪うしたら、三人揃って行方不明じゃ」 一体どうしたら事態は好転してくれるんだろう。 俺は馬鹿だから、全く良い手が浮かばない。思い浮かぶのは、最低最悪の未来ばかりだ。 情けないけど涙が出そうで、俺は顔を俯けた。 「……あんた、なかなか可愛い顔しとんの」 目の前にふと影ができたのを感じる。 そばには三島が立っていた。 その膝が浮き上がったのが見え、蹴り飛ばされるのかと思えば、足のつま先で顎を持ち上げられた。 無理矢理顔を上向けられ、俺は泣きべそをかく寸前の顔を見られてしまった。それを見て、三島が笑う。 「……変なぁの。あんた、コトリアソビのなんなんや?」 「何って、ただの……」 「スケか」 「?」 三島の言ったことの意味が分からず俺が首を捻ると、三島は俺の顎を解放し、その場にしゃがみ込んだ。 三島の咥えているタバコから立ち昇る煙が目に染みて、俺は顔を背ける。 すると、何故か三島の腕が俺の腰の辺りに伸びた。 「あんたコッチやろ。……見てたら分かる」 「いっ……!」
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