880人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
掌がそこからするりと滑り落ち、尻を鷲掴みにされた。
予想もしなかったことをされて、俺はおかしな声を上げてしまう。
コッチって、アッチのことか?何で、どうしてバレた?
ーーーーじゃなくて!
どうしてそんなことを言われなきゃいけないんだ、よりによってこんな時に。
「コトリアソビ、助けたいんか?」
「………………」
「……なら、俺が口添えしたってもええ。あんた、まあまあ金になると思うで」
「……何の、話……」
三島は床にタバコを押し付けながら、上目遣いに俺を見ている。
「えーぶい」
「……AV?」
「坪内の管轄にな、そがぁなビデオ作っとる会社がある。あんたやったら、まあまあ、ええモンになると思うで。それで御機嫌とってみるか?もしかしたら今日の100が、50になるかもしれん」
俺は三島の言葉を噛み砕き、必死に理解しようとした。
俺がAVに出て金を稼ぐことを約束して、坪内の機嫌を取れっていうことか?
そんな馬鹿な話があるか。
「……ああ見えて坪内は両刀じゃ。お前が坪内のオモチャになって御機嫌取るゆう手もある」
「…………!ゲホッ!ゲホッ!」
ヒュッ、と息を吸い込んでしまい、俺はむせて何度も咳き込んだ。
三島の掌が、俺と倒れているおっさんの身体の間に滑り込み、俺の背中を摩る。
その時、三島の唇が俺の耳のそばにそっと近づいた。
「……あいつ絶倫じゃけぇな、死ぬほどイカされんで」
低い声で囁かれ、背筋が凍る。
まるで自分が処女にでもなったように、全身にざわざわと鳥肌が走っていくのが分かった。
すると、三島は暫く沈黙した後、弾かれたようにブハッと大きく噴き出し、腹を抱えて大笑いを始めた。
「だっはっはっは!!冗談や!冗談。あんたの顔、青うなったり赤うなったり、ひどいもんじゃ!面白うてかなわん……!」
「……は…………?」
最初のコメントを投稿しよう!