第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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やっぱりだ。 全てを理解した途端、涙がぴたりと止まった。 こんな状況で、先生は手品をするつもりなんだ。坪内はそれを聞くなり一瞬真顔になったかと思えば、大声を上げて大爆笑し始めた。 「自分が殺されると思って、頭がおかしくなったのか、てめぇは!!」 そうだよな。 笑えるよな。笑っちゃうよな。 そんなこと、ハッタリだと思うよ。 100人居れば、99人は、そう思うだろう。 "新聞紙を万札に変えることなんて、できるはずがない"と。 「それとも何か?今俺の目の前に居るのは、魔法使いか何かだっていうのか?アァ?」 いや、違う。 そうじゃない。 先生が、一枚の新聞紙を指で摘み上げた。 坪内がバカ笑いをぴたりと止める。 先生は、魔法使いじゃない。 「…………手品師だ……」 聞き取れないくらいの小さな声で呟いたのは、黒沢のおっさんだった。 「……ヤクザ屋さん、あなたは、奇跡を見たいとは思いませんか?」 まるで試すような口ぶりの先生を見てニヤリと笑い、坪内は拳銃をテーブルに叩きつけた。 「面白いじゃねえか……!やってみろ!」 「……その代わりと言ってはなんですが、全てを万札に変えられたら、黒沢と優作さんは解放して下さい」 「ああ、約束してやるよ!できるもんならな!!」 もし失敗すれば、先生はゴミのように殺される。 でも、不思議と俺は、もう何も怖くはなくなっていた。 先生の指先を見ているだけで、呼吸すら穏やかになってくるようだ。 だってあの人が、 失敗なんてするわけないじゃないか。 「……それでは、大成功した暁には、拍手、大喝采をお送り下さい」
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