第四章 「マネー!マネー!マネー!」

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しかし、それはかなわなかった。 「優作さん、あの、ツンツン髪の男の子に言っていたことは、何だったのですか?」 「へ?」 「……お前が言ったこと、何でもするって……」 「あ、ああ!」 そういえば、そんなことを言ったっけ。 あの時はただ夢中で、何も考えずに口走ったけれど、今思えば俺はとんでもないことを言ったものだ。 人生保守派の俺が、まさかあんなことを言ったなんて、今でも信じられない。 「三島が、教えてくれたんですよ。俺なら、ちょっと身体を使えば、金になるかもって」 「…………」 「あいつ、坪内、男もイケるらしくて、あいつの機嫌とるために、あいつの性処理の相手になれば、借金ちょっと大目に見てくれるかもしんないって」 おかしい。 何か、先生の様子が変だ。 新聞を集める手を止め、俯いて眉を顰めている。 さっき、坪内とやり合った時のような、まるでいつもの先生とは別人のような顔をしていた。 「やっ、でも、ほら、坪内がいくら男好きっつっても、俺でイケるかどうか分からねーし、今思えばちょっと自分を過大評価しちまってたなー、とか、その……でも、それくらいしか俺にできることないしさ」 先生は沈黙したままだ。 気まずい空気をを取り繕うように、俺は一人ベラベラと喋り続ける。 「二三発掘られるくらい平気かなーとか思ってたけど、結局、何もなくってラッキーだったなー、みたいな、あははははは!」 「優作さん」 「はっ、はい!?」 急に名前を呼ばれ、俺は無意識に背筋を伸ばしていた。 先生の顔がこちらを向く。 その目が、責めている。 俺を、だ。
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