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午前2時、誰も居ない小さな公園。
俺は木の枝の太い付け根に縄を掛ける。
深い呼吸と、
少しの罪悪感。
震えている足は、怖いからじゃない。
俺はしっかりと結ばれた縄をぐい、と引っ張り、枝のしなりを確かめた。大丈夫だ。ピクリともしない。体重は軽い方だし、この木の枝の太さなら、人一人ぶらさがるくらいわけはない筈だ。
脚立代わりにしているステンレスのゴミカゴは、公園に設置されていたものだ。高さ60センチはあるだろうか。ぶら下がった時に足がつかない、ちょうど良い高さだ。
輪にした縄に首を通し、ゴミカゴをつま先でぽん、と蹴れば。
ぶらりと両足が浮き上がるだろう。
それで終わり。確実に、死ねるのだ。
今日ここに来るまで、イメージトレーニングは十分に行った。大丈夫だ。
苦しいのは一瞬だけ。苦しいのは一瞬だけ。苦しいのは一瞬だけだ。
今まで俺が味わってきた数え切れないほどの苦しみに比べれば、なんてことはない。
それを超えてしまえば、俺は楽になれる。俺のたましいは俺というくだらない人間から解放され、天国へ行けるんだ。
辛いも、寂しいも、悲しいも、苦しいもない、天国へ。
(天国?)
いや、ちょっと待てよ、よく考えろ。
本当に天国に行けるのか、俺?
極力波風を立てず、日陰、日陰を生きてきたつもりだけれど、どうしても金がなくて仕方なかった時、ゲイのおっさん騙して金盗ったことがあったっけ。二回くらい。
でも、二回くらいだったらセーフだよな?そんなのまだ軽犯罪だよな?神様許してくれるよな?
折角逝くのなら、地獄より天国が良い。死んだ後も苦しまなきゃいけないなんて、勘弁だ。
お願いです神様、俺をどうか天国へ。
そして次に生まれ変わる時は、才色兼備の超絶美少女でお願いします。立っているだけでチヤホヤチヤホヤされて生きていける人生を、俺に下さい。
愛されるためにみじめにかけずり回る人生にはもう、こりごりです。
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