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「全員集まったみたいね?」
白雪姫に呪いをかけた張本人である魔女、マレフィスが言った。
この場に居るのは私とマレフィス、白雪姫と一緒に暮らしていた7人の小人、白雪姫の国の女王様つまりはお母様、そして白雪の運命の王子のプリク王子。みな真剣で心配で不安で、色々な感情を込めた顔で道化師を見つめた。
「道化師、白雪姫の目を覚まさせる方法とやらを教えてはくれないかしら?」
「焦る気持ちはわかりますが、まずはなぜ目を覚まさないのか。そこから説明いたします」
薄い笑いのまま、道化師は続ける。
「この世界の中に唯一属さない不思議の国という物があるのをご存知ですか?御伽噺のはずなのに、唯一そこだけ勝手に時間がすすんでいるのです。そこの所在やどうしてそんな国が存在しているのか、それは私達にもわかりません。しかし、存在しているのは事実です。恐らくそこに白雪姫は迷い込んでしまったのでしょう。
理由はわかりませんが、不思議の国へ行くのに肉体は共に行けません。行く為には肉体を捨て意識だけで行く必要があります。なぜそこへ行ってしまったのかは私にもわかりませんが、白雪姫は不思議の国へ迷い込み帰り道を失ってしまったのだと思います。不思議の国は夢の中に現れ、夢を見ている当事者を連れさらうという話を聞いた事があります。どういう条件で夢の中で不思議の国と繋がるのか、それすらもわかりません。今の状態で白雪姫を呼び戻すのは無理でしょう」
「無理って・・・あなたね!方法があるからって私達を呼んだのでしょう!?」
「落ち着いてください、マレフィス様。方法が全く無いわけでは無いのです。直接不思議の国へ行き、白雪姫を見つけここへ戻ってくれば問題は無いでしょう。簡単な事でしょう?」
そこで、道化師は一息置きニヤリと笑った。
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