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「・・・だったら、私が行くわ。こんな事女王様にさせるわけにはいかないし、毒りんごを食べさせたのは決まっていた事とは言え私がしたことだもの」
「正義感の強いお方ですね、それとも責任からでしょうか?しかしあなたには出来ません。無理なのです。不思議の国へ行くには若い少女で無ければいけないのです」
また、ニヤリと道化師は笑った。
全員が一斉に私の方を見る。この場に居る若い少女は私だけ。
つまりは行かせる為に呼び出したのだ。全ては道化師の計算通りというわけか、納得がいかない。そう思った所で無駄なわけで、私は自分から手を挙げた。
「だったら、私が行くわ。この中でその条件を満たすのは私だけでしょ?それに私も白雪を助けたい。ここに居る人たちと気持ちは一緒だわ。何より、白雪と私は親友。見つけたらすぐに戻ってこられるはずよ。」
「彼女がすんなりと了承するとは思えない。彼女には何か願いがあるはずだ。不思議の国は願いを求めた物が叶える為に求む場所だからね。きっと白雪姫にも願いがあって知らぬ間に引き寄せられていたのかもしれない。きっとあっちの世界に着いた時には、不思議の国の意味を知らされ、願いを叶える為に奮闘しているのだろうね。彼女を連れ戻すのは苦労するかも知れないよ?それでも、君は行くのかい?姫。」
「えぇ、行くわ。私の親友だもの。私が行くのが1番いいと思うから。彼女の願いは私の願い。彼女が願うなら私も願うわ。私が彼女の願いを叶えてくる。」
「本当に?それは、君の本心かい?」
奴らのこの目が嫌いだ。人の心を見透かす様なまっすぐな目をして私を見つめてくる。とても、腹が立つのだ。
「本心よ、当たり前じゃないの。」
私はきっぱりとそう答えた。
「そうかい、ならいいんだ。不思議の国に行く為には君も深い眠りにつくことになる。彼女を連れて戻るまでは眠り続ける事になるけど、それでも大丈夫かい?いつ目を覚ませられるのか、それは全て君の頑張り次第だ。それでも行くというなら、僕からいい物を授けよう。」
あぁ、奴らは最初から私を行かせるつもりなのだ。私が明日には深い深い眠りにつくから。全て計算済みなのだ。もしかすると、魔女も、女王も、王子も、それを知って私に行かせるのかも知れない。本当は若い少女じゃなくてもいいのかもしれない。私が明日から眠りにつくから、都合の良い私を使うだけかもしれない。
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