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「こちらの世界からあちら、不思議の国へは肉体は行けず意識だけ飛ばす事になります。その為名前が意識の中での肉体の部分になり、名前により、こちらとあちらの世界の架け橋となるのです。もし名前がバレてしまい、あちらの世界で殺された場合はあちらの世界で死体として処理され、こちらの世界では永遠の眠りから覚めることがないということになります。なのであちらの世界では絶対に自分の本当の名を明かさないで下さい。」
「ちょっと、どういうこと!?殺されるかもしれないなんて、私聞いて無いんだけど!」
思わず席を立ち前のめりになりながら強く机を叩きつける。カップに入った紅茶がこぼれるのも気にせず、私は道化師の前に立ちはだかった。
「あまりにも、説明が足りないんじゃないかしら?」
「・・・私は昨日どの程度まで説明しているのか存じ上げません。そして、不思議の国についても私は深くしってはおりません。先ほど申した通り、あちらの世界で名前は己の存在そのものであるということ、それと・・・そうですね。何事にも注意深く、疑う心を持つ事、というところでしょうか。後は貴方が昨日聞いた程度の事しか私は知りませんので」
「・・・何 よ、 それ。」
つまり、私は捨て駒ってところなのかしら、白雪が助かれば私は死んでも問題ない・・・結局そういう存在でしか無い。そういうことだろうか。道化師もなんだかよくわからないし、これ以上問いただしても何か吐きそうな気もしない。
「まぁ、いいわ。死んだりなんてしないもの、絶対に。・・・絶対に生きて帰ってきてみせるんだから」
道化師は微笑みと言うには嫌らしい笑みを浮かべた後楽しそうに言った。
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