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「そのいきですよ、姫。昨日時計はもらいましたね?」
「時計?・・・あぁ、あのイカれた変な奴ね。あるわよ。」
「その時計は、とても重要な物です。まず、こちらの世界からあちらの世界への道標となりす。あちらの世界に着いてからも何らかの役に立つはずですので、必ず肌身離さず持っていて下さい。いいですね?それが無いとこちらの世界には戻ってこれないと思ってくれて構いませんので」
このイカれた時計にそんなすごい力があるとは到底思えないが、そこまで言われるならしっかり持っておこう。金色に輝く懐中時計。頭の部分を、押すと開く仕組みになっている見た目はごく普通の懐中時計。
ただ、中身はコンパスと時計と全円分度器を合わせた様な変な模様が描かれており、針も黒い先がスペードの様なのが2本と、まさにコンパスな赤と青のダイア型の針が一本。こんな物が役に立つなんて。
ポケットから出した時計を開きまじまじと見つめてしまった。
それを見て察したのか「見かけによらずすごい魔力を持った時計ななですよ」と、道化師が口を挟んだ。
「わかったわ、言うとおりにする。」
その言葉を聞いて安心したのか、「それでは私はこれで失礼」と席を立 った。
召使いの1人が扉を開き道化師が部屋を出る、その後ろ姿を見送るといきなり立ち止まり振り返ってこう、付け加えた。
「一つ言い忘れた事があります。あちらの世界には私達道化師の仲間が存在します。今どの様な姿で居るのか、私にもわかりませんが頼って見るのも悪くは無いと思いますよ?」
それだけ言うと、今度は本当に立ち去っていった。
外を見ると空は夕暮れ、日が暮れ始めていた・・・。
運命の時間まで、あと1時間。
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