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夕日が綺麗に輝く頃、気づけば私は塔の前に1人立っていた。
いよいよ、この時が来たのだ。
内心では行きたく無いと思うものの、身体は勝手に塔の中へと進んでいく。いつも外から見ていた高い高い塔。石積みで出来た塔はひどく古ぼけていて所々にヒビがみえる。
目の前にある重い鉄の扉についている丈夫そうな錠前と鎖。簡単に壊す事は出来無いだろう。しかし、私はなぜかその錠前の鍵を持っている。どうして持っているのか、私にもわからない。その鍵を錠前の鍵穴にさし左に回す。
『カチャッ』という小さな音と共に錠前と鎖が崩れ落ちるように地面に落ちた。それを確認し、開けた時につかった鍵をポケットに入れる。重い鉄の扉を押し開け中に入ると石で出来た階段があった。上へ上へと続く長い螺旋階段。ドレスの裾を持ち上げ、一歩、また一歩と登って行く。
度々ある窓から外の様子を見る。一つ段を登る度遠ざかる地面、城、そして私の日常。今ここに居られる事を噛み締めながら、また一段一段登っていく。
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