*第三話*

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てっぺんまで登りきったところで、木で出来た扉があった。この奥にまだ見たことすらない糸車と、それを回している魔女が居るのか。少し緊張しながら、その扉に手をかけた。 中に入ると小さな部屋の様になっていた。予想以上に部屋は広くなっており、中には上質そうな立派なベッドと2人掛けの小さい赤いソファーが置いてある。そしてベッドの反対側、開けた扉に隠れるように糸車が置いてあり、黒い帽子付きのマントを頭からすっぽりと被った魔女が、質素な木の椅子に座りながら糸車を回し糸を紡いでいた。 (これが糸車か・・・。魔女もどんな顔なのか拝んでやろうかと思ったのに、顔もわからないし・・・) 「もし、そこのお嬢さん。」 声をかけられハッと我にかえり魔女の方に向き直る。
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