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「なぜ、あなたがここに?」
フードを被っているせいで、表情は見えない。が、そこにいる人物が今どんな顔をしているのか私には手に取るようにわかった。大嫌いなあの表情の無い目。そして不気味に口元に笑みを浮かべているのだろう。
「やはり、僕の見込みは間違っていなかったよ。」
明らかに、魔女にふさわしくない発言ではない言葉を発したのに驚きと確信を持って振り向いた。が、その拍子に尖った針に誤って指をさしてしまったのだ。
チクリという地味な痛みだった。まるで薔薇のトゲが刺さってしまった時の様な・・・。そのまま床に倒れていく茨姫。倒れ眠りに落ちようとしていくさなか下から真っ暗なフードの中が見えた。
「なんで・・・貴方が、ここに・・・」
消え行く声と共に床に倒れこんだ茨姫。
「一つ良いことを教えてあげます。あちらの世界に私達の仲間が1人。頼るといいでしょう、きっと何かの力になってくれるはずですから」
魔女はそう言うと赤く目を光らせニタリと笑った。
そして、彼女は聞くか聞かまいが疑問と確信をもった表情をしながら深い深い眠りに落ちた。
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