*第一話*

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道化師 道化師、それは、正体不明、性別不明、いつから居て、何処から来たのか、なぜ存在出来て居るのか、全てが不明な謎の人物である。全員が同じ白いネックシャツに暗い赤のベスト、深い緑色の七部丈ズボンに白と黒の縦縞靴下に黒い靴。髪型はひとつにまとめてはいるがまとめ方は様々。そこにだけ個性が現れている。男とも女とも呼べない微妙な顔立ちに、薄い笑いを浮かべそこに居る。とても不気味な存在。 私は奴らが嫌いだ。いつも何かを隠している、そのくせ人の心を除きこむように何かを探る。気持ちの悪い奴らである。 この世界の住人は、何か困った事があると奴らに頼む。何故かはわからないが、彼らは全てを知っているのだ。この世がどうなって出来たのか、今後どうなるのか。きっとこの世界の今までもこれからも奴らは全て知っている。この世界の流れの全てを知ってるのだ。本当に気持ちが悪い。不気味な奴ら。そんなわけのわからない存在に頼るなんて、私は気が引ける。だが、他に方法が無いのも事実である。・・・だからといって、なぜ今日私が呼ばれたのかは皆目見当もつかないのだ。昨日の夜の事。入浴を終え就寝前の読書にふけって居た私の所へ一通 の手紙が届いた。 宛名は道化師から。身に覚えの無い手紙に疑問を感じつつも、読まないわけにはいかない。恐る恐る開き読んでみると、明日の昼前に小人の家に来て欲しいという趣旨の事であった。 また、急である。白雪の事があったので恐らくその事だろうが、なんで私なのだろう。確かに白雪とは仲が良かった。私も彼女もお互いにお互いを親友と認識していた仲であったし、自分達の運命も、これからの事も語り合う事が出来た唯一の存在であった。 だからといって、今回呼ばれる意味がわからない。私が行って白雪が目を覚ますというのだろうか?一つわかることは、白雪の目を覚まさせるためには私が必要であるということ。理由はわからないが、道化師の事だ。理由も無く人を呼ぶ様な真似はしない。何を考えているのかさっぱりわからない様な連中であるが必要最低限の事しか行わず、無駄が嫌いなのを私は知っている。
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