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俺が電話を終えて満足していると、執行部の人達の視線が俺に集中していた。
「あ、すんません。了承を取る前に電話出て」
俺には着信が鳴った瞬間に妹の事しか頭になかった為、突然電話に出た俺は失礼な奴にみえただろう。
だが仕方が無い。
全ては可愛い妹への愛故だ。
「あー、や、別にかまへんでー。ただ、ものごっつぅ笑顔で愛してるとか言うてるから、びっくりしただけや」
鳳先輩が照れ臭そうな、バツが悪そうな顔で言った。
他のみんなも似たり寄ったりな表情をしている中で、麻智先輩だけがキラキラと目を輝かせていた。
「ねぇねぇ、今の電話誰から!?何か可愛い感じの女の子の声だったみたいだけど、彼女とか!?」
嬉々として詰め寄る麻智先輩。
そう、俺の妹は声も可愛いのだ。
「俺が世界で1番愛してやまない妹です」
俺がはっきりと答えた瞬間、空気が固まった。
「律ってシスコンだったのか…」
固まった表情のままボソリと呟く竜。
何だ、鋭貴だってブラコンだったじゃないか。
シスコンの何が悪い。
そんな中、いち早く立ち直った恒先輩が面白そうに笑った。
「べっつにいーじゃんか!つか、やっぱお前面白いな!執行部のメンツはこうでなくちゃなー」
食事を再開させながら恒先輩が言う。
その言葉に他のみんながはっとしていた。
「まぁ、ウチの学校の奴らはアクの強い連中ばっかりだからなー。執行部はそれ以上でちょうど良いかんな!」
綜其先輩が笑った。それに合わせる様に、みんなが笑顔になった。
何か、楽しそうな空気になったな、一気に。
それぞれ個性の強そうな先輩達だけど、こうやって笑あっていけるなら楽しい学校生活が送れそうだ。
しかもこの執行部、既にカップリングが見事に成立している。
萌えの極地に早くも到達したようだ。
これは妹に途轍もない素晴らしい萌えを与える事が出来るだろう。
俺は1人そう心の中で満足していた。
だがこの時俺はまだ知らなかったのだ。
この学校の、本当の萌えを。
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