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竜の部屋に向かう道中、何やら視線を感じまくる。
振り向けば慌てて顔をそらされる。これが何人ものグループにやられた。
え、何、何なの。
「りゅーうーくーん。あっそびーましょー」
取り敢えず視線はシカトし、竜の部屋に来た。同室者がいるかもしれないので、ノックと挨拶をして部屋のドアの前で待つ。
「お!よく来たな!入れ…、よ…」
勢い良くドアを開けてくれた竜が俺の姿を見るなりどんどんと語気を失って行く。
「どうかした?」
「い、いやいやいやいや!!お前がどうしたんだよ、その格好!!」
俺の格好?
いつも通りな感じなのだか、改めて自分の格好を見直してみる。
デカイ黒地のシャツに、体をグルリと回るように描かれた金の昇り竜。ジャラジャラつけたシルバーアクセ。ダボついたズボンにはお気に入りの金ピカのデカイ鎖と、それに繋がれたギラギラの財布が尻ポケットに。
入学式の時は外していたピアスを左に3個、右に2個。因みに右の2つのピアスはクロスモチーフのセットで、鎖で繋がっているお気に入りのやつだ。
何かおかしいか?
「別に、いつも通りだけど…。どこか変か?」
「変っていうか…どこから突っ込んだら良いのかわかんないんだけど」
唖然とした表情の竜。
首を傾げる俺。
そんな空気を壊したのは、竜の後ろから顔を出したでかい男。
「ぅわっヤンキーじゃねぇか!竜、離れとけ!」
そいつは思いっきり竜の襟首を引っ張り、後ろから竜を守るように抱きしめた。
ご馳走です!!
でも何か理不尽!!
「綜其、違うって!こいつは今日ダチになった律だよ!さっき話しただろ!?」
おお、この人が例の綜其先輩とやらか。
がっつり竜をガードしている。
やはり両想い!!万歳!!
「へ?でも、竜の話じゃ無表情でぼけっとした感じの奴だって言って…」
「あ、バカ!本人前にして言うなよ!!」
慌てて腕から離れ、綜其先輩の口を両手で塞ぐ竜。
非常に美味しい光景なのだが…。
竜よ、そんな風に俺の事を思っていたのか…。
「ち、違うからな!律!表情変わんなくてボーッとしてるけど、良いやつって話してたんだ!」
どこがどう違うのか、俺にはよくわかりませんよ、竜君。
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