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ガチャリと、左側の部屋の扉が空く。そこから出て来たのは、黒い髪を無造作に跳ねさせ、キリッとした目の正統派イケメンがいた。
ちょ、これ攻めじゃん!ガチ攻めじゃん!!
竜と一緒の部屋でいいの!?綜其先輩!!
「ほー、またえらい派手なやっちゃなぁ。初日からその格好とは、度胸あるやないか」
俺の姿を見て、にまっと面白そうに笑うその先輩。
か、関西弁!!
テラ萌えス!!
「藤堂 律です。はじめまして」
「おう、はじめまして、やな。俺は進木(すすぎ) 鳳や。よろしゅうな」
にこやかに挨拶をし、握手をしてくれる鳳先輩。
関西弁キャラは腹黒なんて言ったやつは誰だ!!
めっちゃ良い人っぽいぞ。
「鳳さー、マジで俺と部屋代わってくれよ!竜と一緒とかずりぃ」
竜をまた後ろから抱き締めて、綜其先輩が言う。
甲斐性無しとか思ってさーせんした!交渉中だったのね。
「ほな、寮監のサインもろてきてから言えや。去年散々俺が言うても、部屋替えしてくれへんかったのはどこのどいつや」
先輩相手でも超ナチュラルな態度の鳳先輩。格好良い。
「だ、だって去年は代わったら俺が気まずい感じになりそうだったし…」
「せやなー。俺は1年間気まずい思いしながら過ごしたで。ちゅーわけで、部屋替えは絶対せぇへん。去年のお返しや」
「そんな!マジで反省してるし、今年は俺と代われば一人部屋だぜ!?1年間しか竜と一緒に居れないんだから、頼むよ!」
何かよくわからないけど、去年鳳先輩が頼んでも、綜其先輩は部屋を代わってくれなかったみたいだ。
土下座しそうな勢いの綜其先輩に対し、鳳先輩は呆れたような表情を見せる。
「せやから、代わらん言うてるやろ。大体綜其の部屋が一人部屋なんやから、そっちで竜と遊んどればええやん」
その言葉に、ハッとする綜其先輩。
「そ、そうだった!!竜、俺の部屋で過ごそうぜ」
分かりやすい変わり身の早さ。綜其先輩は、…馬鹿なのだろうか。
その様子に、流石に竜も呆れた目をしていた。
「それよりおれ、晩飯食べたい」
この部屋の中の流れを見事にスルーし、竜が言う。
…もしかして竜ってけっこうマイペース?
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