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無事入学式を終え、俺と竜はクラスに向かった。
1年D組。微妙な感じである。
まぁ、クラスはH組まであるらしいから、しょうがないけど。
取り敢えず黒板に書かれている通り、出席番号順に座る。
必然的に、竜とは離れ離れになってしまった。
しかも俺の席は廊下側の後ろの方。これまた微妙。
「全員席に着いたかー。俺は今日からこのクラスの担任になる、竹里 臣(たけざと しん)だ。よろしくなー」
なんともやる気のない自己紹介がされた。
と言うか、笑ってすらない。でも怒っている顔でも、面倒臭そうな顔でもない。
目に付くのは赤い髪と、何気に整った顔。そして白衣。
…大丈夫か、この先生。
や、別に王道な感じでホストみたいな先生を望んでいた訳では…ありますけれども。
赤い髪も赤銅色っぽい感じで、染めてるわけじゃなさそうだし。
顔も整ってるのに、やる気のない目で魅力が半減…ってとこか。
うーん、微妙過ぎてどこから突っ込んだら良いものか。
担任はその後各自の簡単な自己紹介を促し、残りのHR時間は自由に話してろ、と言い残し去って行った。
本当にやる気ねぇな。
竜の所に行くかどうか迷っていると、横から声をかけられた。
「ねぇ、君、外部生でしょ。何でこの学校に来たの?」
やたら綺麗な顔がいつの間にか目の前にあった。
サラサラの金髪に、薄い金茶の目。
まつ毛が長くて、影になっている。
唇もまるで人形のように艶やかだった。
と言うか、頭の先から足の先まで人形のように綺麗な少年がそこにいた。
自己紹介を聞き流していた俺は、初めて隣人の姿を直視した。
こんなやつが、隣に居たのか…。
「妹に薦められて、何となく…」
「ふーん…。名前は?」
本当の理由を隠すにはほんの少しの真実を混ぜるといい。
と、うろ覚えの知識で対応する。
つか、名前聞くって事は、こいつも自己紹介を聞き流していたくちか。
「藤堂 律。律で構わない」
「そ。僕は芹澤 鋭貴(せりざわ えいき)。名前で呼んでもいいよ。…妹に薦められただけで、この学校に来ちゃうわけ?閉鎖的な上に試験だって難関なんでしょ?」
上から目線でまくし立てられる。
身長は多分俺の方が高いが、態度が何だか威圧的だ。
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