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外部生だから、警戒されて居るのだろうか。
「妹は俺の天使だからな」
普通に聞いたらドン引きされそうな台詞を吐く。
しかしこれも一つの真実だ。
俺の目は真剣に輝いていることだろう。
「なぁんだ!そゆことね。おっけー、おっけー。これからよろしくね、律!」
いきなりの友好的な態度に俺は軽くビビった。
威圧的な雰囲気も、もう微塵もない。
そして何故か親近感に満ちた視線を送られる。
…何故だ。
「お、おう。鋭貴はエスカレーター組だよな」
「うん。そぉだよー。分からないことあったら、教えてあげてもいいよ」
上から目線は標準装備か。
「後で学食の場所を教えて欲しい。地図を見たが、迷いそうだ」
「いいよ。中等部と造りは一緒だからね。今日は1年はこの後授業もないし、なんなら一緒に食べに行く?」
「お願いします」
願ってもいない美少年からのお誘いに、俺は即答した。
こんな美少年なら必ず、腐な話題が盛りだくさんだろう。
入学初日から運が良い。
あ、でも竜も来るかな?
聞いてみた方が良いよな。たぶん。
「あのさ、同じ外部生のやつも誘って良いか?」
「別に良いけど、どいつ?」
俺達は連れ立って竜の所に行った。
竜も既に仲のいいやつが出来たみたいで、黒髪ストレートの長身の男と話していた。ちょい強面だが、カッコ良い。
おい、竜。幼馴染みはどうした。既に浮気か。
「何だ、黒(くろ)の知り合い?」
無表情のまま地味にショックを受けている俺を置いて、鋭貴が話を進めていた。
「ああ。同じ道場のやつ。綜其(そうき)先輩の幼馴染み。竜、こっちは芹澤 鋭貴と…」
黒髪イケメンと目があう。
「俺は藤堂 律。鋭貴とはさっき仲良くなったんだ。竜とは入学式で」
「そうか。俺は木原 黒(きはら くろ)だ。よろしく」
手を差し出してくれたので、握手をしてみる。
何だ、この手!!でかい上にゴツい!分厚いっつーか…。
あ、さっき竜と道場が同じとかどうとか言ってたっけ?
「さっきぶりだな、律。芹澤もよろしく」
「名前で良いよ。ややこしくなるから。綜其先輩の幼馴染みなんだって?」
竜と鋭貴が笑顔で話をしていた。
何この可愛子ちゃんズ。
ご馳走様です。
「おう。家が隣で、道場も一緒だったんだ!」
「へぇ…。なら、ここに来たのは綜其先輩を追って?」
「はぇ!?な、何で分かったんだ!?」
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