第一問

9/19

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
取り敢えずさっきの発言は深く突っ込まない方向で、俺達は普通に食事を終えた。 つか、料理が美味すぎる。やはりここは三ツ星レストランだったのか…? 「僕は図書室で時間潰してくるけど、みんなはどうするの?」 俺達がガツガツと飯を食っている間、優雅に紅茶を飲んでいた鋭貴が問う。 「俺は寮に帰って、荷物の整理するかな」 パソコンとかまだ繋いでないし、本の整理もしなきゃ。あと、私服も片付けなきゃなー。 寮の部屋に荷物は届いているらしいし。 「俺は、風紀委員会のミーティングがあるから。鋭貴と一緒に時間潰してる」 …え?今何と? 「なんだよ、もう委員会とか決まってんの!?」 竜が俺の疑問を代弁してくれた。 「ああ、うちの学校は中学1年の時に入った委員会に、基本的に自動で永久所属なんだょね。素行不良とかで問題にならない限り、そのまんま持ち上がり」 鋭貴が説明してくれる。 何だ、そのシステム。不満の声は上がらないのだろうか。 「途中で変わりたいって人とか、出ないの?」 「小等部の頃に色んな委員会を経験して、中等部に入って選択をする。だから中1で真剣に吟味し、やり抜くことを前提に決めている。自分で決めた事を続ける大切さを身につける、という学園長の方針らしい」 おおぅ。とても真面目過ぎる答えが返ってきた。 とても腐な世界を堪能したいが為に入学したという俺には、想像もつかない程の教育方針だった。 「そっか。2人とも残んのかー。おれは取り敢えず寮内の探検するから、帰るかな!」 わぁ、同じくらい何も考えてない仲間がいたよ。 外部生同士、寮には早く慣れた方が良いもんな。うん。 「そ。じゃあまた後で」 「夕飯の時に会おうな」 そう言って、2人は食堂から去って行った。 取り残された、俺と竜。 2人の背中を見送り、俺は重大なミスに気がついた。 寮の場所ってどこだよ!? 時すでに遅し。もう2人の背中は見えなくなっていた。 ジーザス。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加