3/3
前へ
/80ページ
次へ
好きだよって泣いて、嫌いだよって笑って。 何もできない自分が悔しくて、殴っていたのは自分自身。 好きだよって笑って、嫌いだよって泣いて。 いつも何でもできたあなたがその手を使うのは、私の頭を撫でる時。 拳を開いたとき、一番に使うやり方。 それはきっと、あなたの涙を拭うということ。 怖くていいんだよ、結局皆怖いもの知らずなわけじゃないんだから。 どんなに強い人だって泣くんだから、いいんだよビビってチビって。 だから、固く閉ざした拳を開いたって問題ない。 誰もが怖がりながら生きてるんだから、アウェーにはならない。 「もういいかい?」 そろそろ私も開こうか。 「もういいよ」 あなたに後押ししてほしくて。 この人がいるなら、どんなに怖くても乗り越えられる。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加