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いつか友人はこう言った。
「いつか記憶はなくなってしまうものだから、気にしなくてもいいんだよ」と、きっと優しい声だろう。
友人との出会いも忘れてしまって、「どんなんだったっけ」と言う自分が悲しくて。
あなたはいつでも私の記憶の中に、優しい友人としているのだろう。
赤の他人になってしまうだなんて嫌だ。
この記憶も、きっといつか白に紛れて消えてしまう。
そんなもんだというのに、なぜ声が聞きたくなるのだろう?
なぜ会いたくなるのだろう?
不思議なものだ。
何年も前に、好きなキャラクターの育成ゲームにハマっていた。
1年間そのキャラクターをペットとして預かって、1年経ったら返すというゲーム。
数ヶ月間はその子に言葉や芸を覚えさせていたけど、ある日気がついた。
「なんでこの子にそんなことをさせる必要があるのだろう?」
だって、どんなに色々と覚えさせたって、結局はいなくなってしまう。
つまり、その子のデータは自然となくなってしまう。
そんなゲーム。
それに気づいてからというもの、キャラクターの子に言葉や芸を覚えさせるのをやめて、ご飯をあげて返して、それを繰り返した。
その頃から薄々と気づいていたこと。
「結局私達も死んでしまうのに」
なんで友達と過ごしたくなるのか、疑問だ。
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