二億円の恋【１】

１

「はぁっ…はぁっ…」

追い掛けたものの、追い付ける筈もなく外国人はあっという間に居なくなってしまった。

…信じられない。

…全財産が入った鞄、奪われてしまった。

人生をやり直すつもりで必死で貯金して、新しい生活を始めるつもりだったのに。

腰が抜けたような感覚になり、その場に座り込んだ。

…これからどうするのよ。

無一文じゃ、生きて行く事さえ出来ないよね。

どうしてこんなめにあうの。