第1章

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何故、長男の父がそんな格好なのか?未だ不明だが、本人は全く気にならない様子。 確かに、昔から着るものには頓着しないタチだが。 家族の集合写真なのに…一番前でゴザの上って、どうなの!? 扱われ方が? わからないわ… はっきりとした顔立ち。しかし眼瞼下垂にもみえる片眼を含めると一種独特の雰囲気を持つ父。 「パパはね、初めてデートする時、片方の眼を見せ無かったの。横に居て暗くてわからなかったのよ。それで、「お父さんは貴女を僕にくれると言った」って。」 と、母は私に言った。 多分、姉弟と違うこの眼は彼のコンプレックスだったろう。 だから、写真に映る丁稚姿にも見える様なその姿は何か一種の「諦め」として私には映った。 姉と弟と同じ場所には立っては居ないという…自虐的な意思にも見えた。
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