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「はぁ?何を言っているんだ。お前、図々しくも代わりを要求するのか?」
なおも朱莉の悔しさは収まらず、
「呆れて物が言えないとは、こう云う事を言うんだな」と、少年にガンを飛ばす。
そんな朱莉の興奮した様子をみても、少年はにやにやとするばかりだった。
やめておけばいいのに、余裕ぶった少年に対抗心が湧いてきて、朱莉は言わなくていい事まで口に出してしまっていた。
「はっはー、残念だったな。私が今日この駅に来たのは、たまたま用事があったからなんだ。普段はこの沿線すら使ってないから、お前には、二度と、金輪際、会うことは無いっ、分かったか」
これでもかと興奮してまくし立てる朱莉を尻目に、少年はしれっとした表情を一向に崩そうとはしなかった。
それどころか、「そう?」と意味ありげに笑いながら、朱莉に手を振って歩いて行ってしまった。
「変な奴だ!」誰に言うでもなく、朱莉は独りごちた。
見慣れない制服を来た少年、彼との因縁はここで終わるものだと、この時の朱莉は信じて疑わなかった……。
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