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その特待生というのも、転入してくれば女子の話題にあがる事必須だろう。なるべく関わり合いになりたくないものだ、と朱莉は思う。
まあ、他の生徒になかなか馴染めず、持ち上がりクラス内でも浮いた存在である自分には所詮関係のない話だろうが。
あと10分程歩けば学校に着く。
いつものように、自分は空気の如く皆の間をすり抜けていくだけの時間を過ごすのだな……今日に限っては何だか感傷的になっている朱莉だった。
学校に近づくにつれて周りを歩く生徒の数が段々と増えて行く。
朱莉は細心の注意を払って、極力人に触れないようにと全身を緊張させながら歩いていた。
登下校の時間が1日の中でも、朱莉が最も神経を使う時間帯だった。まっ、しかし毎日の事なので、もう随分と慣れてはきている。
しかし昨夜の寝不足が祟ったのだろうか?急に冷や汗が湧き出してきて、視界がどんどんと暗くなってゆくのを朱莉は感じた。
やばい、こんなところで意識を失なっては自分を制御出来な……くな、…る……。
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