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朱莉は夢を見ていた。躰がひどく重くて自由に動かせない。
夢の中での朱莉はなぜか、かの有名なおとぎ話の猿蟹合戦に登場するサルだった。
そして彼女の背には重たい臼が乗せられていた。
「どうか勘弁して下さい。わたしが悪うごさいました。もう2度とカニ殿を虐めたりは致しませぬ……」
保健室のベッドに横たわりながら、必死で謝る朱莉の上部から、大きな笑い声が聞こえて来た。
半分ほど意識を覚醒させて、その声を聞いた朱莉は何故か不可解な不愉快さを感じていた。
この声、どうしてだろう?ヤケに癪にさわるぞ……。最近、何処ぞで聞いた覚えのあるような……朱莉は記憶を反芻させてみた。
「あっ、500円オトコ」
そう叫んで、ようやく朱莉は意識を全覚醒させる事が出来た。
朱莉が目を開けるとそこには、自分が着ている布団の上で突っ伏して笑いまくる、例の美少年がいた。
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