1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひーっ、はっはは。もう駄目だ、あんたってばホントにおもしれー奴」
涙を流しながら笑う少年は、相変わらずうっとりする程、無駄に色気を醸し出していた。
すぐそばで揺れる栗色の柔らかな髪に触れたくなる衝動を必死に抑えて、朱莉は怒ったように少年に尋ねた。
「何故お前がここにいる?……安眠妨害か?お前が乗っかっているせいで、わたしは悪夢を見たぞ」
ひとしきり笑って落ち着いた少年は、目の前の不機嫌な少女に一応、抗議の意を申し立ててみる。
「随分ひどい言い草だなぁ。目の前で倒れたあんたを、ここまで運んで来てやったのは俺なんだけど」
少年は頬を膨らまして怒ってみた。
けれども、目に残る涙を拭いながらの半笑いの顔ゆえ、朱莉に対してちっとも効き目を成しては居なかった。
最初のコメントを投稿しよう!