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様々な人がせわしなく行き交う駅のコインロッカー前。
そこで少年は、己の存在を少しでも消したいかの様に、両脚を抱えて丸くなっている。
顔は伏せられ、見る事は叶わないが、髪を掻き上げる手の魅力的な印象から、少なからず察すれるというものだろう。
細くしなやかな指が掻き上げる髪は、色素が薄く、若干ウェーブが掛かっている。
朱莉が見ている事に気付いたのだろうか、おもむろに彼は顔を上げ、ゆっくりと視線を朱莉に向けてきた。
「……綺麗だ」
朱莉は我知らず、呟いてしまっていた。
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