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あー、ようやく合点のいった朱莉は、自分の手と拳を打ち鳴らそうとして、はたっと我に返った。
「なんで私が、お前にやらんといかんのだっ」
言葉の端に、怒気が多少混ざってしまうのは、しょうがないというものだろう。
何か芸でもした訳でもあるまいし、他人にお金をせびるなんて、お前は何様なんだぁ。
まっそりゃ、多少なりとも見惚れてはいたが……だとしてもだっ。
礼儀知らずのこいつをいさめなくては、と、朱莉はきっと、顔を上げて少年を怒鳴った。
「おい、おまえ」
しかし少年は気分を害すどころか、可笑しくてたまらないとばかりに、いきなり笑い始めた。
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