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人と言う生き物は得てして、他と違うものに対し拒否反応を起こし、ひどく残酷になってしまいがちだ。
きっとこいつもその類にまぎれず、私を疎外するに違いない。朱里は自分を傷付けるであろう少年の言葉を覚悟して待ってみたが、それは一向にやってくる気配がなかった。
ん?と思い、顔を上げてみると、少年は笑い死ぬんじゃないかと思うくらい、瞳に涙を溜めながら腹を抱えていた。
失礼な奴だ、と相手の腹に叩き込むために挙げた拳を、朱莉は振るう事なく下ろしてしまった。
(なんだよ。気味が悪いって言わないのかよ……)
ぎゅっと握りしめていた手を、朱莉はそっと緩めた。
握りしめた拳の本当の意味を知られたくなくて、朱莉はわざと怒った口調で少年をたしなめた。
「おい、いい加減にしろ!」
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