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…不思議な夢を見た……
私が何か恐ろしいのに襲われかけて
それを助けてくれた不思議な力を持った人達と出会った夢だ
……夢……なんだろうか?
香衣はしばらく悩んだ
だが、記憶が曖昧な状態なので
これ以上は考えることをやめた
それよりも今、自分がどこに居るのかを考えることにした
……見覚えがある
ここはお寺の中の私の寝室だ
外は……真っ暗だから夜か
………あの時と、状況が似てる……
違うのは、一和が来ない所だけかな…
香衣はベッドからゆっくり降りると、襖を開けて部屋を出て行った
部屋を出てすぐに長い廊下があり、廊下からは綺麗にされた中庭が見えていた
香衣はそこに腰掛けて、満月をジッと見つめていた
──昔もこんな風にみたなぁ…
鳥居に座らせられて、皆が泣いてる私を励まそうとオロオロしてたっけ
懐かしいなぁー
………………………………“懐かしい”?
何かが引っかかったのか、香衣は左手で頭を抑え目を大きく見開いた
鳥居って?皆って?
……私が、泣いた……?
私はいったい、何を言っているの?
必死に思い出そうとするのだが途端に頭痛がして、思い出そうとしても思い出せない
もう諦めかけようとした
──その時だった
どこからか懐かしい音色が聴こえた
音色に惹かれて、風は髪を撫でるように触れ、散った花びらは道しるべをするように風で舞う
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