第1話

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私は、5歳の頃に両親を亡くした ……しかも私の目の前で、両親は殺されたのだ そのトラウマで私は言葉を失い 記憶も曖昧に失った いっそ忘れるなら、両親の死を見届けた血まみれな瞬間を忘れたかった なのにそこは今でもずっと覚えている それ以外は何も覚えていない ただ、両親と一緒に笑い合っていた記憶は今でも心の奥に残っている 天涯孤独になった私は古いお寺の主人である“十門持 一和” (ジュウモンジ イチカズ)に預けられた とても優しくしてくれて、私もすぐに打ち解けた 私が悪夢に魘されると、彼はいつも隣に来て 『大丈夫。私がついているからね』 と、優しく微笑み頭を撫でてくれた それを聞くと、何故かいつも良く眠れた 今ではもう、一和は私にとっては大切な家族で一番の理解者である そんな優しい一和に、私は一度だけキツく叱られた事があった それは、古いお寺の裏にある奥の森 お寺に初めて来た時に一和にこの辺を説明された時 『いいかい?奥の森には近づいてはいけないよ?』 そう言われてたのに、私は近づいてしまった 気がつくと私はお寺の寝室で寝ていた
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