祭りの恋

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「トモ!!」 角を曲がったところであっちゃんの声が聞こえた。 振り返れば、半纏を羽織ったあっちゃんがこっちに走ってくる。 その姿に胸がドキドキした。 このドキドキは『あの』ドキドキ。 幼馴染に抱くとは思っていなかったドキドキ。 顔が熱くなるのを感じる。 「ど、どうしたの?」 「いや……あとで連絡するって言ったけど、番号変わってないか、確認すんの忘れてたから」 「あ、うん。変わってないよ」 「そっか……じゃ、また後でな」 あっちゃんが私に背中を向けた。 「あ、あっちゃん!」 「ん、なに?」 「あのさ今、彼女っているの?」 すらっと口からでた言葉に、自分で驚く。 「か、彼女?いない、全然いないよ」 「そっか……ゴメンいきなり変な事聞いて」 「ああ…大丈夫。っとトモはいるの?」 あっちゃんの耳が赤くなっているように見える。 「ううん。いないよ」 「そっか……じゃ、後でまたゆっくりな」 「うん。頑張ってね」 「おう!」 照れた様な笑顔を私に向けながら、あっちゃんは事務所に戻っていった。 早く家に帰ろう。 ちゃんと化粧をして、女子力を上げて……。 うん、祭りも悪くないかもね。 久しぶりのドキドキは恋の予感。 幼馴染との恋、今日始めました。
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